土着的な場を求めて

平地で育ったからだろうか。定期的に山の雄大さを感じたくなることがある。そんな気持ちもあって2年ぶりに山梨へ足を運んだ。

最初に向かったのは山梨県の韮崎(にらさき)にあるアメリカヤという建物。古い5階建ての鉄筋コンクリートの建物をリノベーションをして、喫茶、DIYショップ、テナントブース、設計事務所が入居している。建物の名前にもなっている2階のアメリカヤさんでDIYグッズを購入し、1階の食事と喫茶のボンシイクさんでAKITO COFFEEさんのブラジル豆を使ったホットコーヒーとガトーショコラをいただいた。

韮崎駅近くの中央商店街の中にあって、人が忙しなく動いている道ではなく、車の通りも多くない。時間軸を感じられるリノベーション空間に古い家具が置かれていて、体の重心が落ち着くというか、そんな場所だった。

外へ出たら5階のスペースは誰でも自由に入っていいという看板を見かけたので、階段で5階まで駆け上がって部屋に入ったら、最高に気持ちがいい景色が広がっていた。入った瞬間に躯体を除いて全面窓ガラス。邪魔するものは何もなく、奧に山々が広がるだけ。

誰もいなかったこともあって20分くらいはいたかもしれない。椅子に座って景色を眺めていたら時間が過ぎていた。

山梨県の南部へと車を走らせて向かった先はevam eva yamanashi(エヴァムエヴァ山梨)。以前から行きたいと思っていた場所。アパレルブランドのevam evaが山梨の農村部に作った店で、お店の他に食事ができるスペースとギャラリーを併設している。

おそらく古い建物を部分的にリノベーションしている空間だと思う。

建物は単純な形だけれど、高さは抑えられ、ディテールは細く、繊細な感じを与える。その反面、建物や門、木々、土道や石道などの配置は昔の農家を思わせる配置、素材で土着的な雰囲気を醸し出している。このバランスが絶妙だった。

ギャラリーで行われていた塗師である赤木明登個展「like a stone」も堪能。

建物の中の展示は生命の始まりを思わせる色、形、表情などが違うものが配置されていて、まわりには宇宙を思わせるものが配置されていた。一つひとつの不揃いさが心地よくて、素材の継ぎ目が表面に現れているところも面白かった。

建物の外にも作品は配置されていて、小惑星イトカワを模したものもあってユーモアもたっぷり。難しく考えなくても楽しめる作品。それなのに奥が深い。

宿泊に選んだ場所は山中湖畔にある小さな宿ホトリニテ。

昔ながらの宿の古さとデザインを中心としたリノベーションがよい具合に混ざり合った宿。それに店主である高村さんの誠実さや人の良さが加わって、いい空気感に包まれていた。

宿泊したときの7割くらいが欧州や北米、台湾などの海外の方で、さまざまな言葉が飛び交う。バッタリ会ってしまったときの言葉も英語が中心。それでも何となくみんな「あっ!どうも!」のような空気感が面白かったりもした。

翌日は富士吉田市で行われていたハタオリマチフェスティバル2018へ。台風と秋雨前線の影響で前日の天気予報は雨マークだったけれど、当日の朝をむかえてみれば雲の間から太陽の光が降り注ぐ天気。

富士吉田の中心部で街全体を使って行われるハタオリマチフェスティバル。外から来る人も地元の人も、小さな子どもも若い人もおじいちゃんおばあちゃん世代まで、ごちゃ混ぜ感が面白い。

外の人も参加しやすく、地元の人も街中で行われるイベントとして馴染んでいる。こんなにイベントが街に馴染むことがあるんだというぐらい。外の人だけが浮かれたイメージも役所の仕事っぽい雰囲気も地元民以外は受け付けないイメージもない。

イベントを楽しむふんわりとした雰囲気と商売の活気が絶妙に混ざり合った空気感が唯一無二の存在だったように思う。今回は残念ながら富士山は雲で覆われていたけれど、今度は富士山も見たい。

アメリカヤ
evam eva yamanashi
ホトリニテ
富士吉田の街
下吉田駅
etc…

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