植物を楽しむサンルームがある家

忙しくなると季節を感じることなく日々は過ぎていく。ふと気付くと夏が終わっていたということも多々ある。毎日着ている服は長袖から半袖に替わっていたはずなのに、意識をしないと時間を感じられないのは何かが間違っているんだと思う。1年の間にゴールデンウィーク、七夕、ハロウィン・・・季節を教えてくれるイベントも数多くあるけれど、それらは人がつくった情報に過ぎなくて、受け身なものだとも思う。

木々や植物の多くは春に芽吹き、夏に鼻を咲かせ、秋に紅葉し、冬に葉を落とす。厳しい四季に対応するように姿形を変えていく。
新芽の力強さでエネルギーを感じたり、綺麗な花を見て笑顔になったり、真っ赤に染まった葉っぱを見て心が落ち着いたり、茶色く枯れていく植物を見て寂しさを感じたり。木々や植物の動きに人が気付き、感情を動かされ、小さな幸せを感じていく。

日常の中に木々や植物があったら、心が豊かになれるように思う。

地方にある広めの敷地に平屋建ての家。庭には季節によって表情を変える木々を中心に何本か植えられていて、木々を避けるかのように砂利敷きの駐車場が設けられている。生まれた木陰には小さな虫が集まり、虫を食べに鳥たちもやってくる。自然の循環はもちろん、木陰は太陽の光が建物に当たる事を防ぎ老朽化のスピードを遅くしてくれる。

アプローチを進み玄関の中に入ると土間続きの収納スペースがある。木々や植物の手入れに必要な道具や比較的小さめな土や堆肥などを収納しておけるスペースで、便利に使えると思う。

玄関から扉を開けると人が集う空間へと繋がる。ダイニングとリビングの片隅にある小さなサンルームは土間の空間で、土で汚れたり、水で濡れることを気にすることなく植物を置くことができる。大きめに計画された窓から太陽の光が降り注ぎ、植物は成長し続ける。ダイニングで食事をするときも、リビングでくつろいでいるときも、自然と植物が目に入り心を癒やしてくれるだろう。

大きな観葉植物を床に置いたり、棚にたくさんの鉢を並べたり、地を覆うように育つ植物を天井から吊したり。家全体が植物を置ける空間になっていた方が、植物に囲まれた生活ができると思う。きっと、もっと気持ちがいいはずだ。ただ、高いところに置いてあったり、天井から吊り下げている植物に、毎日水をあげることは時間も労力も必要だ。水をこぼせば床にシミもできてしまう。植物に太陽光を当てるために移動させることや植え替えも考慮する必要がある。植物との生活を負担に思わず、気軽に植物を楽しめるということであれば、適度な大きさのサンルームかなと考えてみた。

今、住宅地の中から木々や植物が減っているように思う。木々や植物と共に暮らす人が増えますように。