ギャルリももぐさでD&DEPARTMENTを主宰しているナガオカケンメイさんの展示があることをツイッターで知った。会期はおよそ2週間。ゆっくり展示が見られる平日の午後。比較的暖かい時間に行くことにした。広い国道を車で走り、徐々に坂を登り始めると道が細くなり、見えてくるのがギャルリももぐさ。2年ぶりくらいに来たけれど、緑に囲まれたいい雰囲気は変わらない。
アプローチを歩いて風情のある障子の戸を開ける。日本的な落ち着いた空間にぼんやりと温かい優しい展示が多いけれど、今日はワイワイと賑やかな声が広がり、今までとは違った空気感に包まれていた。D&DEPARTMENTの商品がずらりと並び販売され、過去に発表された商品で今ではほとんど現物を見ることができないものも数多く展示されていた。それらの商品は今とは違い勢いがあって尖ってもいて、ナガオカケンメイさんの過去を垣間見たような気がした。
家を出る前に、ふとナガオカケンメイさんの本をどれくらい持っているのだろうと本棚を眺めてみると、古いd long life designやナガオカケンメイの考えから最近のd design travelまで40冊ほどあった。D&DEPARTMENTの店舗で購入したものから、今はほとんどが廃番になって売っていないものを古本で揃えたりもした。
D&DEPARTMENTと言えばロングライフデザイン。
ナガオカケンメイさんのこの考え方が好きだった。そう思うのは、家もロングライフデザインなものだからかもしれない。人の命よりも長い時間、生き続ける家も多い。いい家は長くその場所で生き続けてほしいとも思う。家はその場所に住む人だけではなく、知らない人の記憶にも残る。あの家を曲がったら目的地にたどり着けるよとか、あの家の前であんなことしたよねとか。そんな人の思いが集まって町ができていく。その場所ならではの個性があって、風土に合った形がある。その場所に住む人の考え方や住まい方が色濃く滲み出た家。
古い家が必ずしもいいとは思わない。その時々の流行を少しずつ取り入れながら、その時代に合った住まい方もいいなと思う。まわりに評価されず、市場にも価値がないと放り出された家であったとしても、住まい手自身が家に高い評価ができる。そんな思いがつまった家がたくさんできたらいいな。そんなことを思いながら帰路についた。