モバイルバッテリー

mobile battery

小川奈緒さんと小池高弘さんが出版された「sketch」のイラスト展を京都のメリーゴーランドで拝見させていただいたことで、思い出したことの1つに「モバイルバッテリー」がある。「sketch」の最後は東日本大震災の話で締めくくられているからだ。

2011年3月11日に発生した東日本大震災の当日、自分自身は日本ではなくイギリスのロンドンにいた。朝、ホテルで目が覚めてテレビをつけると、当時首相であった菅さんが話している映像と津波から追われるように逃げる車の映像がループしていた。菅さんの言葉は日本語で英語に訳されることなく放送されていたことから、日本人の自分には何を言っているのか分かったけれど、地震の発生に加えて津波が起こり、非常事態だという内容以外に詳しい話は聞けなかった。

朝からロンドンの地下鉄の駅前で配られている新聞をもらい、地下鉄の中で目を通しても、大部分を地震による世界規模での影響が語られているだけで、今現在の日本の状況は知ることができない。ただ圧倒的に情報が足りない。今でこそスマートフォンで情報を見ることができるけれど、当時は折りたたみ式の携帯電話だったのが悔やまれる。

無事に日本に帰国できる状況なのか知ることができないまま、2011年3月13日の午前中に中部国際空港に到着。愛知県に着いてみれば、名古屋鉄道も時刻表通りに動き、日常の時間が流れていた。

震災を経験していないことに負い目を感じるようになってから、福島のコンペに参加することに合わせて、東北地方を見て回り、風景や人、空気感や雰囲気などを感じ、福島第一原発の収集業務で働く作業員のポートレートとインタビューを直接行ったフォトジャーナリスト・小原一真さんの話も聞いた。とても小さな会場の中で当時高校生の男の子が「自分は福島のものを食べて応援したい」と発言したことに衝撃を受けたことを覚えている。

本題に戻ろう。

「sketch」には、小川奈緒さんの3月11日の記録が書かれている。そのページを読んだときに、自分ができることとして、遠方へ出かけるときはモバイルバッテリーを持つと決めた。出先で災害に巻き込まれた時も、自分が外出している間に家族が災害に巻き込まれた時も、必要なインフラとしてのスマートフォンを延命させる必要がある。

荷物を少しでも軽くしたい中にあって、モバイルバッテリーは決して軽くない。それでも1つ持っていれば、もしもの時に連絡が取り合える可能性が少しでも増える。そう認識している。

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