[sketch #7]線路沿いにぶらっと歩ける抜け道がある家

線路沿いにぶらっと歩ける抜け道がある家

[スケッチ #7]線路沿いにぶらっと歩ける抜け道がある家

忙しい毎日の中でいつもより少しだけ意識をして町を歩いてみると、道路は日々整備されて歩道も広がり、ガードレールの白さが眩しい。目新しい住宅やアパートが気づけば建っていることも多く「この土地は元々なんだったっけ?」と口に出してしまうこともよくある。

町が視覚的に綺麗になり、日中からフラフラしている大人も消えて、社会の新しいルールが1つ、またひとつと決められていく中で、町から余白が少なくなり、余白を許容できる心も減ってしまったような気がしている。

大人の表層的な建前と暗黙の了解が何となく浸透する町の中で、息抜きができるような抜け感を持つ家があってもいいなと思いながら絵を描いてみた。

線路沿いにある歪な形をした大きな敷地。隣の駅からずっと線路と併走してきた道路が数件の家によってブツッと終わりを迎える。交通量が限りなく少ないこの場所では犬の散歩をする人、自転車で目的地へ向かう人やウォーキングをする人、子どもが道路で遊んでいたり、中学生が学校の帰りに歩いていたりと、大通りを避けた人の生活道となる。

一度大通りに戻らないと続く線路沿いの道路には戻れない中で、敷地の中に人が通ることができる抜け道があった方が居心地がよいような気がした。人のエネルギーをこの場所で止めてしまうより、風通し良くスッと抜けたい。

この敷地に住宅、畑、小屋とギャラリー(仮)の計画を考えてみる。

ギャラリーは(仮)であり、線路沿いの抜け道から電車好きの方々が集まってワイワイ楽しんでもいい。学校の先生や農家さん、企業に勤めてみえる方や自営業の方、電車の整備員の方など、世間的には普通の人だけれど業界外の人が聞けば面白い話が聞けたり、近所の人の家の中にあるガラクタ展などもいいかなと思う。自分にとって特別な何かではないものを表に出せる場所があったらいい。

敷地の形に合わせて住宅は小屋とギャラリーも含めて何となく庭を囲むように配置したい。線路沿いの住宅は電車の影響を直接受ける。小屋とギャラリーを線路側に計画することで、電車が通過する振動までは防ぐことができないけれど、音が直接響かないようにすること、電車の車輪が目の前に見えないようにすることで恐怖感を減らすこと、電車の車輪とレールの摩擦から出る鉄粉の影響を抑えること、電車の車内から家の中ができるだけ見えないようにすることなど、多くの要素を持たせたい。

木々の奥にポッと家が建っていて、丁寧にデザインされた細部が生きてくるような雰囲気が生まれたらいい。気張らず肩の力が抜けたような生活が行われる空間がこの場所には合うような気がしている。

-お願い-
この建物は「こんな家があってもいいな」という考えのもとにササッとスケッチしたものになります。そのため、実際に建築されたものではありません。ご了承ください。

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