岐阜県美濃加茂市にある中山道太田宿に、古本と新刊書籍を扱う本屋HUT BOOKSTOREに併設させる形で当建築設計事務所をつくりました。建物は三軒長屋の一角で、元々は魚屋さんが住居兼店舗として入居していた空間の、魚屋として使用していた部分と住居としていた部分の一部を改修して、本屋兼事務所としました。
1年以上、入居者を失い時が止まった建物の一角を、必要だと思うところは残し、不要な部分は撤去し、歪んだ建物を補強し、また建物が呼吸できるように改修を行いました。
外観の壁は板張りとし、黒をベースとした落ち着いたものとしました。また、建具は格子戸や引き戸を採用し、素材は、木、真鍮、銅板、ガラスなどを基本としています。
これらの形や素材を選んだ理由として、中山道太田宿に建物を調和させる意味があります。
外壁の板張りは中山道太田宿ではよく見られる一般的な形や素材です。格子戸は太田宿にある歴史的建物「旧太田脇本陣林家住宅」でも使用されるもので、脇本陣のように格が高い建物の格子戸は細く細かいのですが、商いをする一般的な建物ということで、太い格子戸を採用しています。また、建具の取手は真鍮、看板は銅板とし、昔からある素材、もしくは近隣の建物で使用している素材を採用しています。
通りに違和感なく馴染みながらも、少しだけ新しさを感じるものを目指しました。

内観は、昭和の時代に取り付けられた壁やボード、アルミサッシなどは撤去し、できる限り建物が建てられた当時の梁や板が目に見えるようにしつつ、床はコンクリートや杉板、壁は塗り壁などで場を整えています。また、空間に合うように本棚の素材はラワン合板としています。




建物の最初の状態や改修工事の状況などは、noteの記事「古本屋ができるまで・できたあと」でまとめておりますので、もしご興味があればご覧ください。