木曽三川により育まれた濃尾平野の一角にある愛知県丹羽郡扶桑町。町の準メイン道路から一本中に入った所にある住宅街の中に建物はあります。
築35年となる木造家屋の一室を事務所として利用するためのリノベーションが今回の目的。元々は応接間として作られた空間は、床・壁は板、天井は彫り込み天井となっており、部屋にはお客さんを迎えるのに相応しい照明器具、センターテーブル、ソファ、キャビネットなどが以前は並んでいました。
しかし、35年間という時間は部屋をそのまま事務所として利用するには気になるポイントがいくつかあり、随所に見られる経年変化や歪み、汚れ、キズ、床の凹みなど多くの問題を生んでいました。さらに、部屋は茶系統の色で統一されており室内は暗い雰囲気であることに加え、当時標準的に流行していた内装が悪い意味で古さを表していることから、変える必要もありました。
リノベーションを行う空間はおよそ12平米(7.3畳程度)、大工さん1人と設計者古池の2人で「ああでもない」、「こうでもない」と試行錯誤を繰り返しながら一部DIY感覚で工事を行っています。出来る限り安価に抑えたいことから、ゴミを増やさず、使用材料を減らすことを目指していました。
安全に事務所利用ができる空間とするために、大きく凹む床は補強を行い、開きが悪くなっていた建具は使いやすいように直す必要がありました。また、黒ずんでいた木部はサンダーで磨き汚れを落とし、汚れていた布クロスは撤去し、明るくしたい壁や天井はペンキで塗装をしています。
改修した部分は主に、床、壁、天井であり、サッシの交換、サッシや建具の枠の取り替え、壁を壊したり穴を空けるなどの大きな工事はしておりません。
今回のリノベーションでは、事務所で打ち合わせや図面や模型の製作などで使用するテーブル、2人掛けのベンチについても製作を行いました。