「書庫を建てるに至った松原隆一郎さんの物語」と「松原さんの書庫を建てることになった堀部安嗣さんの物語」がつまった本。松原さんが書庫を建てるに至った経緯となる祖父母や両親との関係が赤裸々に記されていることが、書庫の重要性を際だたせている。
この本の面白いところは、松原さんの視点で書かれた章と堀部さんの視点で書かれた章とが入り組んでいるところだ。
書庫の打ち合わせにおいて、堀部さんなりの思いで提案した書庫に対して、松原さんは納得はしていないものの、堀部さんを信頼していってみましょうという、何とも言えないギクシャク感とリアリティを感じられる。
読者が神様となり、空から見ているかのような感覚はなかなか味わえない。